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 セグメンテーション(Segmentation)


セグメンテーション(Segmentation)
 自社の事業領域を決める方法


 セグメンテーションとは概して言えば、自社が活動する事業領域を決めるのがセグメンテーションです。

セグメンテーションで行う内容は、市場を自社が参入するセグメント(参入する領域)に分割し、均一化されたニーズのもとに自社の活動範囲を決定します。

そして、市場を自社が参入するセグメント(参入する領域)に分割する時の基準(変数)は、一般的に次の4つの基準(変数)で市場をセグメンテーション(均一化されたニーズで分割)します。

1 地理的分割
  (国、州、地域、郡、都市、地元エリア などでセグメンテーション)

2 デモグラフィック(実態人口統計)による分割
  (年齢、家族構成、性別、所得、職業、教育水準、宗教、人種、世代、
  国籍、社会階層 などでセグメンテーション)

3 サイコ・グラフィック(心理的傾向)によるセグメンテーション
  ライフスタイル:
  常識家タイプ 指導家タイプ 芸術家タイプ 職人タイプ
  パーソナリティ:衝動的 社交的 保守的 野心的 権威主義

4 行動(状況)による分割
  (日常的な状況、特別な状況 などでセグメンテーション)
  顧客利益、ロイヤリティー、顧客の状態
  (潜在的顧客、得意客、新規顧客 などでセグメンテーション)、
  購買準備(認知している、関心あり、購入希望あり、購入意図あり
  などでセグメンテーション)、
  製品に対する思い入れ(熱狂的、肯定的、無関心、否定的、敵対的
  などでセグメンテーション)

市場のセグメンテーションは、この4つの変数以外にも業種によって様々な変数がありますので、市場の傾向性を判断した上でセグメンテーションする変数を決めていく事が必要です。

それでは、具体的にセグメンテーションする方法を見ていきましょう。

例えば、あなたが日本国内だけで自動車の販売をすると決めたとします。あなたがまず最初にセグメンテーションしなくてはならないことは、

1 どんな範囲の地域でマーケティングをするのか?
  (地理的変数でセグメンテーション)

2 どんな種類の自動車の販売をするのか?
  (製品ラインの決定でセグメンテーション)

この2つの変数を最初に決めセグメンテーションします。例えば、下図のように「日本国内市場」と「製品ライン」を分割して自動車業界全体での自社の事業領域を最初にセグメンテーション(分割)し、自社のセグメントを決定します。

セグメンテーション
図1

仮にあなたがピンク色になっているセグメントで市場をセングメンテーションしたとすると、あなたの事業領域は、東京で汎用乗用車、高級乗用車を販売する事です。

そして、「東京で汎用乗用車、高級乗用車を販売する」だけでは漠然としていますので、更にこのセグメント内で絞り込みをして、下図の図2のような選択したセグメントをさらに分割したサブセグメントを決めます。

セグメンテーション
図2

このように、サブセグメントを決める事で自社の事業領域がより明確になります。

さて、サブセグメントを決定しましたら、ここでもう一度、業界全体から自社のセングメントを見つめ直し、自社が業界全体でどんなニーズを満たし、どの程度の売上が見込まれるのか?などを判断します。今、自社の事業領域は図3のピンク色の領域です。


セグメンテーション
図3

この図3から自社が業界全体でどんなニーズを満たし、どの程度の売上が見込まれるのか?を判断します。

今、仮に、この図の市場の全て(9×9=81セグメント)のセグメントが全て同じ量と質だったとしますと、自社の事業領域は業界全体の10%(8/81)程度であると言うことです。


つまり、業界全体の市場規模(年間売上高)が、仮に100億だったとしますと自社の事業領域の市場規模は、

 自社の事業領域(セグメント)の市場規模 = 業界全体の市場規模×0.1

ですので、

 自社の事業領域(セグメント)の市場規模 = 10億

となります。このように市場をセグメンテーションすることで、頭の中で漠然とイメージしていた自社の事業領域での売上高などが実際に定量化された数字として明確になってきます。


セグメント・マーケティングの問題点
 (マーケットを断片化するセグメンテーション)

 さて、ここまでが現在行われている伝統的なマーケティングでのセグメンテーション方法ですが、このセグメンテーションには一つの大きな欠点があります。その欠点とは、伝統的なマーケティングでは、

1 マーケット・リサーチより、ニーズを探し検証する
2 SWOT分析より事業機会を特定し、自社の向かうべき方向性を見いだす。
3 目標設定(事業機会に優先順位を付け市場を特定し、マーケティング目標と
  達成期間を割り出す)
4 戦略の策定
  マーケティング戦略の策定
   1 セグメンテーションより自社の事業領域を決める
   2 ターゲティングより市場の参入するセグメントを決定し、
     セグメントに働く5つの力を分析・評価し、セグメントの
     数値化(定量目標)をする。
   3 ポジショニングより自社が向かうべき方向(定性目標)を決定する。
   4 4P(製品、価格、流通、販売)の設計
5 マーケティング・プログラムの立案
6 新規事業計画や製品計画の策定
7 実行
8 コントロールとフィードバック

これらの1〜8の流れに沿ってこれらのプロセスを実行しますが、全て、垂直思考で行われます。

つまり、伝統的なマーケティングの考え方は、
セグメンテーションで自社の事業領域を決める方法の図1、図2を見ていただいてもお判りいただけますように「排除するシステム」なのです。

また、セグメンテーションで自社の事業領域を決める方法の図3では、業界全体に対するニーズが81セグメントありました。

しかし事例では、わずか8セグメントしか選択していませんが、残り73セグメントはマーケティング計画前に既に排除されており、セグメンテーション後、考える事すらありません。

そして、その結果、自社の将来は、選択したセグメントのニーズの減退と共に自社も衰退していくという運命の呪縛から逃れる事はできません。


つまり、これらの例からお判り頂けたと思いますが、伝統的なマーケティングでのセグメンテーションは、これらの例に沿って言い換えれば、「自社が満たせないニーズを最初に排除する」するのが伝統的なマーケティングでのセグメンテーションなのです。

そこで、この垂直思考の落とし穴を埋めるのために考えられたのが「ラテラル・マーケティング」という考え方です。


伝統的マーケティングの改善策 ラテラル・マーケティング
 ラテラル・マーケティングは、伝統的マーケティングの垂直思考とは対照的な水平思考をするマーケティングの考え方です。

伝統的マーケティングの垂直思考では、ターゲットを絞り、ターゲットへ向けて満たせないニーズを排除していきますが、ラテラル・マーケティングでは、それとは対照的に排除されたニーズを水平思考をする事で、自社にイノベーションを起こし自社の収益性を成長させて行く考え方です。

つまり、ラテラル・マーケティングは、除外したニーズに対して創造性を駆使してどのようにして取り込むのかがラテラル・マーケティングのテーマです。

現在のマーケティングにおいて必要なことは、伝統的マーケティングの垂直思考とラテラル・マーケティングの水平思考のどちらが正しいのか? と言うことではなく、両方とも補完し合う関係で、両方とも状況に合わせて使い分けることです。

 ※このページは、弊社がマーケティング研修でも使用しているテキストの一部を抜粋してウェッブサイト用に編集したものです。

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